映画「ソロモンの偽証 後篇・裁判」の動画を視聴しました。

2015年公開の邦画で、上映時間は約146分。

総合評価:★★★☆☆~★★★★☆(3.7)

ここで見ました⇒ソロモンの偽証 後篇・裁判
(本ページの情報は2019年3月時点のものです。 最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。)

監督:成島出さん
出演:藤野涼子さん、板垣瑞生さん、石井杏奈さんら

原作は宮部みゆきさんのミステリー小説。


ソロモンの偽証 第III部 法廷

映画「ソロモンの偽証 後篇・裁判」の感想



前篇は続きへの期待感もあってか、面白さを感じました。

後篇もつまらないとは思わなかったけれど、予想ほどではなかったかな・・・

自分には、少しドロドロがキツめの印象でした。
(キツ過ぎるほどではなく、ミステリー系としてはごくスタンダードな範疇と思いますが)

なんか、もっとスカッとするような法定ものを期待していたのかも。


ネットでのレビュー書き込みを見ると、展開(結末)が途中から読めたという人もいるようでしたが、自分はラストあたりになるまではっきりとはわからず、「どうなるのだろう・・・?」と思いながら見ていました。

構図がガシャン、ガシャンという変わっていき、「これはちょっと作為的過ぎるのでは?(リアル感を失いかけているのではないか)」との想いも抱きました。

つまり、ミステリーとしての面白さはラストのほうまで保たれていたけれど、"作り物感"を少し感じてしまったところもあった、と。

が、そのあたりの感覚は人によって異なるのでしょう、きっと。

「もっと凝ったほうがいい」という人もいれば、「もう、お腹一杯。もう少しシンプルにして」という人もいるのではなかろうか。


これより以下は、ネタバレに近い内容かも知れませんので、ご注意ください。


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こういったことを書いていいか迷いますが。

この作品に登場する柏木くんのようなキャラ、苦手だと感じました。
(もちろん、演者さんのことでありませんよ。作品内のキャラです)

妙に冷めていて、世の中の何事にも嘘くささを感じている。

そして、クラスメートや友達に正論めいたことを言って揺さぶりをかけたり、傷つけるという。

自分自身のことも嫌いなのでしょう。

つまり、いやらしいニヒリストで、真実や正しいもの、完全なる美しさを持ったものしか存在価値がないと考えているようなタイプ。

しかし、それも中二病の一つなのかもしれないですね。

自分にもそういったところがあったような気もするし。


何か重大なことががあってそうなってしまった(心を闇が支配するようになってしまい、希望や明るさがほぼ0になってしまった)ということも考えられ、"かわいそう"という見方をしないといけないのかもしれないが。

でも、苦手は苦手だ。

あぁいう中学生、もしくは人に真正面からぶつかられたときにはどうするのがいいのだろう?

歴史に名を残すような思想家や教育的指導者だったら、どんなコミュニケーションをとるのでしょうね。

ソロモンの偽証 タイトルの意味を考察


あと、この作品のタイトルのソロモンについて。

ソロモン王(←賢者、知恵者のようなイメージでいいかと)から来ているみたいですが。

そのソロモンが偽証する?

見終わってから考えてみて、誰が「ソロモン」だったのか、いまいちわかりませんでした。

ネットでもいろいろ考察が出ているようですが。


原作者、宮部みゆきさんのインタビュー内容からすると、パッと思い浮かんだタイトルなのかも。


以下は物語核心のネタバレが含まれていますので、ご注意ください。


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ソロモン王というのは、神託を受けて人を裁くことを許された人物。それを「偽証」で受けたタイトルですが。

宮部 私の場合、いつもアイデアと一緒にタイトルが出てくる。これが同時に出てこない作品って、大抵ポシャるんです。今回は幸いにも全くブレなかった。敢えて説明してしまうなら、そうですね、最も知恵あるものが嘘をついている。最も権力を持つものが嘘をついている。この場合は学校組織とか、社会がと言ってもいいかもしれません。あるいは、最も正しいことをしようとするものが嘘をついている、ということでしょう。

https://www.shinchosha.co.jp/solomon/interview.html


これからすると、「偽証」は法定での偽証ではないってことでしょうか・・・

「偽り」みたいな意味か?

ソロモンの偽り

そう捉えてみると、わかりやすいですね。

ソロモンは神原和彦(大出俊次の弁護人をやった生徒)かと。

学校や社会は、判断ミスや予測を見誤ったところはあったにせよ、偽りとまでは言えないように思います。


神原和彦は、東都大学付属中学の生徒。

実際にはないと思いますが、東大付属中学みたいなこと?

東京御三家中学やそれに比肩するようなイメージでしょうか。

そこの生徒であるソロモンが偽った、と。


Wikipediaで知ったのですが、20年後を描いた「負の方程式」という作品があるよう。

彼は学者となり、中学校時代の裁判関係者と結婚をしたのだとか!

本編の20年後を描いた続編『負の方程式』では、直接は登場しないが、学者になったことと、裁判の関係者の一人と結婚したことが語られている。

ソロモンの偽証 - Wikipedia


「負の方程式」は、中編作品で、
これ↓に収録されているようです。

ソロモンの偽証(〔6〕(第3部)) 法廷 下巻 (新潮文庫) [ 宮部みゆき ]